【爪切り】道草屋すずしろ日帰り-雨宿り【鼓膜マッサージ】　レビュー

田舎の雨音は、都会の雨音と少し違う気がしませんか？

"日帰りのお客様なんて、ほとんどいらっしゃいませんから、少し、驚きました"
"この雨ですし、このまま、バスまで雨宿りですか？"
"よかったら、お時間までしばらく、このままご一緒してもよろしいですか？"
…
"ご旅行のシーズンでもありませんし…、
長雨もあって、結構暇なんですよ。この時期は"

旅先の雨天。
田舎の縁側。
さして強くはない雨でも、
遮蔽物の少ない田舎では、雨音は広く遠く満ち響く。
傍らには癖毛の女中さん。
いつもは働き者の彼女も、湿気てゆったりしている。
バスの来る時間は当分先。
安らげる雨宿りのときは、いましばらく続くようだ。

…てな雰囲気に没入できる、癒し成分たっぷりな音声でやんす。

◆のんびりとした時間を過ごせる癒やしの時、
心も身体もリフレッシュできる続きを読む◆

　　

ベテランの技術が光る！
"声の無い"時間すら楽しむ"音声"作品

"お客様、爪…、結構伸びておりますねえ"
"伸ばしてる…という風にも見えませんし、ネイルなどなさるんですか？"
"ふふっ。んっ、少し…お待ちください"
(ここから３分間、すずしろさんの戻りを心を広くして待ちましょう)

サークル「桃色CODE」から、大人気シリーズ『道草屋』の33作目。
今回の相手はすずしろさん。梅雨時期は癖毛がぐねってなる女の子。
バス待ちの客と、暇気味の女中、
雨ですることの無い退屈な時間すら、共有すれば癒しになるのねぇ。
全編通してゆったり雰囲気だけれど、
すずしろさんが部屋を出た後、３分も無声の時間が続くのはすごい。
人を待つ時間は、ただ無為な時間ではなく、
それ自体が出来事の一部だと教えてくれる。
戸の開閉音で空間の広がり伝える工夫等も、芸が細かいんだよなぁ。

すずしろさんの"たらし"能力は異常 (誉め言葉)。

"雨の日ですから…、景色を楽しんで頂けない分の、サービスです"
"見られたら何か勘違いされてしまいそうですけど、大丈夫ですよ"
"雨の日の、わざわざ縁側なんて、誰も通りませんので"

爪切りが終わったら、次はお耳を拭いて…、
綺麗になった両耳を、丁寧に食んでくれる。
もちろん音声としての心地良さはある。
でも、それよりなにより、
これ、すずしろさんからのサービスなのよね。
あくまで普段から客に行っている仕事の一つ、
それでも女中さんのサービスとして受けると、
客と店の関係を、ほんの少し超えるような…、
超えないような…このもどかしさが堪らない。
(うーむ。人はこうして夜の店にハマって行くのだなぁ)

すずしろさんの新技「鼓膜マッサージ」の威力やいかに？

"さっき、色々持って来たんですよ"
"お客様がお見えになったら、お試ししようと、私的に買ったものを"
"景色はお見せできませんけど、その分は"
"んぅ、どっちから、お試しいたしましょうか？"

今回はすずしろさんの新兵器「音叉」と「産毛剃り」が登場。
お試しの実験台にされるって、むしろ特別感あって嬉しいよね。
確かに音叉を鳴らすと気持ちいいよね…と期待したのだけれど、
今回の音声では特有の鼓膜がジーンとする感覚までは得られず。
うーん。音量を上げると少し良いかな。再生環境の問題もある？
「産毛剃り」は音を楽しむよりも、情景を想像して楽しむもの。
でも、終わった後で耳を「ふうっ」としてもらえるのは嬉しい。
まあ、この辺は今後すずしろさんの進歩に期待しておりますよ。

ぐだモードのすずしろさんに会えるのは梅雨時期だけ！

"バスまで、お時間まだまだございますから…、後はゆっくり…"
…
"んんぅ…。…寝転んでなんておりませんよ？見えておりませんよね？"
"私の、お墨付きの縁側ですから。このまま、バスまでゆっくり"
"お店としては困りますけど…、
年に一度くらいなら、梅雨もゆっくりできて良いのかも"

最後に耳かきをしてもらったら、後はのんびりするだけ。
総評として、コンセプトの明確な体感型ボイスドラマって感じ？
客と女中という、想像する上で無理のない設定が、
自然体の自分のまま癒される体験に繋がっている。
「雨の田舎」という設定に魅力を感じる人は、購入して損しない。

あと「桃色CODE」作品の購入前にオススメしたいのが、
公式HPで作品背景を描いた"数コマ漫画"を読んでおくこと。
これを読むだけで、作品の登場人物に愛着が沸いて、
幾つか読むうちに、購入を決断することになるはず。
いや正直、これも書籍化したら買いたいクオリティです。
(なのに音声のオマケとして、既公表分が付属している！)

(レビュアー : 菊丸)

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